手技

看護師の採血練習法と上手くいくやり方を紹介します!

今回は採血大好きな私が採血スキルを上げるための練習方法について書きます。

 

採血が大好きな人が必ず上手とは限らないですよ。

昔の私は採血が大好きだったけど、別に上手ではありませんでしたから笑

 

でも、嫌いより好きな方が伸びます。

 

採血が上手な方でも「あまり得意ではありませんが、頑張ってみますね〜」

と患者さんに言う看護師さんがいらっしゃいます。

謙遜したくなる気持ち痛いほどわかります。

上手に採血できて当たり前、失敗したら申し訳ないので。

 

しかし患者さんの気持ちになって考えてみたらどうでしょうか?

「大丈夫ですよ、安心してください〜ちゃんと採りますからね〜」

って言われた方がなんだかホッとしませんか?

 

そんなふうにキッパリと患者さんに言えた上で、しっかりと採血できるやり方と

手技の練習を書いていきます。

 

私の時代の採血練習法

 

私が採血を練習していた時、となるともう30年以上前のことになります。

今とはだいぶ採血の練習の仕方が違う時代です笑

 

私は看護学生時代から早く採血がしたくて、その手技自体にとても上手くやれる自信が

ありました。

手先が器用でしたし図画工作も美術も高成績だったからです。

採血や点滴で先輩方に重宝されたい、患者さんに喜ばれたいと常に思ってました。

 

ところが実際は思い通りにいくのは3割程度、そう上手くいかなかった事が

多かったです。

 

採血の練習は常に生身の人間の静脈でした。

2〜3割は先輩や同僚、優しいドクターのご厚意で練習出来ます。

ちなみに生身を感じる為に、たまに鶏肉で練習してたこともありました…←特にお薦めはしません。

 

後の7〜8割は先輩の手技を穴があきそうなくらい凝視し、頭でシュミレーションをして

患者さんに経験させて頂きながらスキルが上がっていったといった状況でした。

 

今の時代はもう実習が充実していてシリコン製の腕だけの練習器具があったり、

泣いたりするリアルな練習ロボットくんがいたりします。

 

余談ですが大学病院では血管可視化装置と言った赤外線で血管の場所を把握できるものもあります。(脂肪層の厚みや深い血管には対応してません)

こちらはぶっちゃけあまり人気ないです笑

 

コスパが高い割に使い勝手が悪い、全ての血管を把握できない、診療報酬の問題など

色々デメリットの方が先にきてしまうようです。

 

採血を失敗する理由は「マインドの弱さ」だった

 

手先が器用で自信があった私が上手く採血出来なかった最大の弱点は

マインドの弱さでした。

 

「うわっ、太ってる〜この患者さん血管出てんのかな〜?」

「なんか黙ってて不機嫌そう、失敗したら怒られそう」

「なんか私が若いから失敗すると思ってる感じ、やだ〜どうしよう」

 

先ず患者さんに対して先入観があったので

「こ、こんにちは、よろしくお願いします。」と挨拶はするものの

上目使いで患者さんの顔をまともに見れず、チラ見しながらの

ご挨拶だったと思います。

 

当然患者さんには見透かされていますからお互いに負の連鎖が始まる訳です。

悩みました。

「こんなはずではなかったのに〜」と考えました。

 

そして「こんなことではダメだ!と思い、採血が上手な先輩の真似をしようと思いました。

 

その当時は私の他に看護師の先輩が三人ほど常駐してました。

中でも採血がお上手で難しい患者さんからいつも指名されているK先輩がいました。

 

とにかくK先輩の真似をしよう。仕事の手順、仕草、話し方お化粧なんでも。

いつも先輩にくっついてまわっていました。

 

先輩が嫌がる(怖がる)といけないので

「私は先輩みたいになりたいのでこれから先輩の真似ばかりします。

私を先輩みたいにしてください」みたいな事を当時言ったと思います笑

 

それから先輩は私の気持ちを受け入れてくださりお昼はいつも一緒に食べたり

洋服のお古を貰ったりすごく可愛がって頂きました。

緊張する同僚の看護師にも緊張しなくなり、患者さんともリラックスして

話せるようになりました。

 

「なんだぁこの人ただ緊張してただけだったんだ〜」

「あれ?笑った〜?こんな事で笑うんだ〜」

「そっか〜わかった、なんだ私のマインドの持って行き方だったんだ」

と徐々に気づかされました。

 

ある時、例の採血の難しい患者さんから「やってみる?」と声をかけられました。

私はその患者さんとも先輩について(採血を)学んでいたことから、

顔見知りでリラックスしていました。

無事に採血できました。

 

上手な先輩の真似をする事で自分の弱さに気づき、コミュニケーションの大切さを

知りました。

 

それから時々色んな方に自分の採血(自分の血を採ってもらう方)をお願いして、

採血されても痛くないと感じたらそっと手技を見せてもらい勉強してます。

 

人それぞれやり方が違いますので、良いところも違います。

 

そして採血するときは患者さんと先ずお話をしてから良い雰囲気で行うようにしています。

 

採血をする時に良い雰囲気や環境作りができるようになると、

お互いにメリットがあります。

患者さんは安心して任せてくれるので、こちらもとても楽になるんですね。

 

しかし先輩看護師さんの真似をするだけではダメでした。+ 敵(血管)を知らなくては…!

 

採血を上手く行うには、急がば回れ作戦が大事

 

採血を上手に行うためには、落ち着いて、しっかりと段階を踏むことが大切です。

スピードを求められる仕事ではありますが、いくら早くても仕事が雑では意味がありません。

 

採血を失敗してしまったら二度手間で逆に時間がかかってしまいますしね!

 

どんな手順で採血をすれば上手くできるのか、順を追って説明していきます。

 

①温める

 

まずは温めます。3〜5分程度。

これは難易度の高い血管には大前提です。

恐怖感が強い、血液を見られない威圧感が強いPTはベットに誘導して行いましょう。

 

②駆血帯をきつめに締める

 

いつもよりきつく駆血帯をしめます

腕を下から上にさすります。

血管が見つかったら軽く指で弾いたり患者さんに手を数回開いたり閉じたりして

もらいます。

これによってできるだけ血管を隆起させ内腔を広げます。

※注意:患者さんの腕を叩かない方が良いです。

 

③反対の腕も確認する

 

片方の腕を見てこれならイケそうだと思っても、必ず反対側の腕も確認します。

 

ただオペ後や抗がん剤治療中、変形、その他わけありのPTは片腕だけで頑張りましょう。

同じ腕にいくつか血管の選択肢(候補)があると良いです。

腕の裏側(肘側)に良い血管が見つかる場合もあります。

 

④血管の選択

 

血管の走行を確認しどの血管にアプローチするのか?が鍵です。

 

採血はどれくらいの挿入で血管に到達するか予測できる血管がいいと思います。

そして留置の場合は1.5〜2センチくらい蛇行がなく真っ直ぐな血管がいいです。

蛇行があると数ミリ挿入して内針をぬき更に進めていく過程で血管を突き破ることがあります。

 

⑤血管の固定

 

動く(逃げる)血管は穿刺予定部位より2〜3センチを引っ張り気味に穿刺すると血管が固定され動かないので入れやすいです。

血管は加齢による変化や抗凝固剤、長期にわたる糖尿病治療中の患者さんで難易度が変わります

 

焦らず的確に、全てのステップを毎回確認して採血してみてください。

成功率がきっと上がるはずです!

患者さんの不安な気持ちに寄り添う言葉を掛ける

 

不安に寄り添うと言っても寄り添うって何?

どんな言葉掛けがいいの?

ってなりますよね。

 

患者さんの不安な気持ちも様々です。

ですからまず、患者さんのの気持ちを知りたいのでシンプルにお尋ねします。

「〇〇さんこれから採血をしますが〇〇さんは採血したことありますか?

なにか御心配がありますか?何かご希望がありましたらおっしゃってください」

にっこり笑顔で。

 

「私は私が持っている知識や経験の全てで貴方にご対応致します。」と言った感じで

接します。

 

経験が浅くてもにっこり笑顔があれば不安な患者さんにはこちらの気持ちが十分

伝わります。

時に身体をさすったり、嫌な事を言われても黙って絶えることで

患者さんの不安やストレスを和らげることができます。

 

しかし返ってくる患者さんの反応はそれぞれです。

無愛想に「採れんのか?」と不安をむき出しにしてくる方もいれば、

声掛けに声にならないようなか細い声で腕を差し出すのがやっとの

緊張マックスの患者さんもいます。

 

そしてまたお喋りをしながら、「何が一番この方の嫌悪感を占めているのか?」を探します。

 

殆どの患者さんが『痛みに対する恐怖感』です。

そしてそれに伴う沢山の不安でしょう。

 

「今回は一度で採れるのか?こないだの看護師も失敗したし…」

「針が入っていることに緊張する…血液が見られない。

血液を見ると圧迫感があり呼吸が苦しくなるんだよ」

といったような気持ち。

 

なのでそんな時こそ前項で解説したステップを必ず説明を加えながらする

いいと思います。

 

例えば腕を温めた方がいいと判断したら、「お手元が冷たいですね、採血がスムーズに

いく様に少し温めましょうか?温める事で採血しやすくなるんですよ。熱すぎないです

か?」といった感じで声かけ+説明をしていきます。

 

血液を見れない患者さんはベット移動し対処しましょう。

 

駆血帯をきつく締める際も、

「ちょっときつめですが大丈夫ですか?痺れていませんか?お辛い時はおっしゃってくださいね〜」とゆっくりと話しましょう。

ちなみに駆血帯をきつく締めることでチアノーゼがでやすいPTがいらっしゃるので

確認しながらやりましょう。

 

あと言葉のマジックも有効な時があります。

「この病院で一番小さい針を使って、出来るだけ痛みを最小限にしていきますね〜

この針だと痛くないと言う患者さん多いんですよ〜」など。

 

ご存知のように23Gを使うのですがこの針に説明を加える事でいつもより痛くないと

感じる場合があります。

 

採血を失敗した時

 

ところで採血が上手くいかなかったら皆さんはどうしてますか?

 

その場は先ずお詫びを入れますよね。

そして別の看護師あるいはドクターに代わってもらう、もしくはもう一度挑戦させて頂いて

自力でなんとかする。

こんな感じですよね。

 

ここでもう一つ大切なのは「なぜ上手くできなかったか?」を自分で追求することです。

  • 温めが足りなかった
  • 時間がなくて焦りがあった
  • 採血前にこの血管で(いけるかな?)大丈夫かな?と迷いの方が強かった
  • トイレを我慢した
  • 同業者だから緊張した
  • 患者さんの威圧感に気負いした
  • 今までにない難しい血管だった

 

色々な原因が上がると思いますが、最後の「今までにない難しい血管だった」

以外は全て自分で回避できます。

 

上手くいかなかった時こそ「なぜ?」と自問自答することを習慣化してください。

 

最後に私は採血の時、不安のある患者さんには「ちゃんと採りますから大丈夫ですよ〜」

とにっこり笑顔で言います。

キャリアの長くなった今となっては、どんな血管なのか楽しみでもあります笑

 

しかし良い環境づくりは外せません。

必ずお話から始めて情報を得てます。

 

テクニックだけではなく、どうってこともない、この環境づくりがかなり効果的だと

日々実感しています。

 

忙しく時間に追われている時に採血をしようとすると、

それが患者さんに伝わってしまうものです。

さらに患者さんも無意識に構えますからよくないですね。

 

忙しい時こそ、環境づくりは大切だと感じています。

繰り返していくことで経験を得ますからかなり手技も早くなってきますし

患者さんへの対応のコツも身についてきます。

 

仕事の優先順位の中に時間をかけるべき時とそうでない時がどうしても混在します。

採血や留置は時間をかける時です。その時は先入観を持たず、

にっこり笑顔でご挨拶をしましょう

  1. PTの観察(表情、身体のこわばり、体温、緊張感の有無、表情、恐怖感など)
  2. 患者さんへの問いかけ
  3. 気持ちに寄り添う言葉掛け
  4. 行う対処や行為に説明を加える

これらが採血をうまくおこなう近道だと思ってます。

 

そして手技の向上としては、院内で上手い人(ナース、ドクター、臨床検査技師、救急救命士)を見つけたら手技を見せてもらうのが一番です。

 

邪魔にならない程度にそっと見にいってもいいかな?とちゃんと空気を見てくださいね笑

 

そして頭でシュミレーションして実践する。

失敗した時も「なぜ?」を追求し、考えられる問題点を出していく→シュミレーションをして実践する、この繰り返しです。

 

採血が今は上手くいかなくても、上手くいかない理由をしっかり研究していれば

経験とともに必ず上手くなりますから頑張ってください!

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