若い時は病院につとめ長いあいだ夜勤をしてきました。
そして結婚、出産と人生のイベントと共に働く環境が変わりました。
クリニックや派遣勤務を経て、いつの間にかクリニック勤務が長くなりました。
そこでクリニックVS病院で働いた感想をカテゴリー別にくらべて記してみました。
病院からクリニックに転職をしたわたしの感想でなにかヒントになれば幸いです。
仕事編
私がクリニックに勤務し最初に感じた病院とのギャップは物品の節約と雑用でした。
- アル綿は脱脂綿にアルコールを浸し自分で作り節約の対応
- 手袋の着脱に制限がある
- 必ず医療用でなくても100円ショップなどで代用できるものはする
- 翼針など有料なものは採血が困難なPTのみ使用可(ルアー針などは使わせてもらえない)
- 新しい商品の積極的購入は難しい
- 現場の備品に注意をはらい欠品にならないよう注意する
- 高額の発注は院長先生、もしくは担当者を通す(備品ワクチンなど)
- スタッフみんなで掃除する
クリニックで働くと言うことはそこで働くスタッフ、院長先生に合わせていくと言うことだと感じました。
もちろん自分が譲歩できる範囲です。
これくらいなら…(我慢できるかな)といったような感じです。
クリニックは病院と比べ残業もあります。なのでスタッフや院長先生と共有する時間も長いのです。
病院もクリニック勤務もそれぞれの役割がありパーツとしてハマるイメージは同じなのですが、
クリニックはパーツにハマり仕事をしながらそれ意外に細部(雑用やシフト)を担ったり、常に外来患者さん注意を払い、動きを止めないイメージがあります。
要するに病院は仕事だけにコミットできますが夜勤があり、クリニックは夜勤はないけど
仕事の内容が医療だけでなく多岐にわたる雑用も担います。
トイレ、診察室、検査室、待合室などクリニック内の拭き掃除、掃除機をかける、冷暖房機、空気清浄機のフィルター掃除があるところもあります。
夜勤がないので生活リズムを整えやすく子供が小さい時はクリニックに勤められる方が多くなりますが、クリニックもそれなりに大変です。
また節約できるところを見つけて節約することが院長先生へのご機嫌とりにも繋がります。
ドクター編
ドクターはなんと言っても個性派揃いと言ってもいいでしょう。と言っても私が学生時代に
ドイツ語を使っておられたドクターの権威がすごく「右と言ったら左も右だ!」と言うよう
なガチガチさではなく、「ここは言い方を気をつけないと怒りに触れる、こうなると機嫌が
悪くなる」と言ったポイントがあるドクターが多いです。
私が勤めた中には「人格者だな〜」と思える先生はお一人だけでした。
しかし優しくてもクリニック全般を君に任せるからと仕切ってもらうことを求めるドクターもいます。
クリニック運営を始めたばかりの開業医でクリニック経験の長い年上ナースにいろんなノウ
ハウを聞くうちに、その関係性が確立されてくる傾向があります。
「長い時間いっしょに仕事するわけだから性格がいい開業医がいいよね〜」と思うくらい個性が強いドクターが多いです。
それを同僚は「個性が強いから大学に残らない(れない)に決まってんじゃ〜ン」
「なるほど〜」そういえば大学病院や大きな病院ではオペ室やユニットで自分のことは自分
でさっさとやってくれる先生が多かったな〜ドクターたちもまたセンター長や総支部長に圧力をかけられていたのを思い出します。
センター長など偉い先生の下にいるドクター達と私たちナースは共に愚痴を言い合える仲間意識が芽生えていたことも思い出します。
上のえら〜い先生方の怒りに触れないよう気を付ける病院の組織内VS院長先生の機嫌を伺いながら仕事をするクリニックともいえます。
ドクターの人間性や嫌なところが浮き彫りになり自分の評価を軽視されていると感じると
正直マンパワーも下がります。
クリニックの院長先生は病院で言うと事務長でもあり経営も担っており雇い主でもありますから、お金に反映してくれなければ我慢もしたくありません。
資格職のナースですから直ぐに辞めてしまいます。そこはgive&takeですよね〜
嫌いな人とお金のために割り切ることはできますが、そうでなければ続かないですね。
開業医はYESと首を縦にふり逆らわないナースを好むのですが…
休暇、給料、人材のバランス
クリニック内はギリギリの人数で勤務してるためシフトを組んだり有給を調整したりする
仕事も入ってきます。早番や遅番があるところもあります。
このシフトを決めているのは受付(事務)サイドが多いです。
クリニック全般を仕切るのは一見ナースだと思われますが割と受付が多いです。
それはナースは直ぐに辞めてしまうからです。
実はクリニックは院長先生と喧嘩して辞めるナースも少なくないんです。
永続勤務ナースでもあまり円満に辞めているケースは少ないです。(もう院長のおもりはいやだ〜的な)
そして福利厚生が悪いので(厚生年金、社会保険があるクリニックは少ない)常勤希望で面接にくるナースは少ないです。
圧倒的にパートが多くモチベも格差があり、ちょっとしたお小遣い稼ぎで来られるナースも
多いです。そのため仕事に対する姿勢や考え方も異なり、当然できるはずの手技もできない
など、揉め事に発展しやすいこともあります。
嫌なことがあるとパートなのですぐに辞めます。
クリニック内はナースがいないと回りません。
面接にきてくれればよっぽど条件が合わない以外は院長先生が採用してしまうところにも
ナース同士の温度差が生じ喧嘩もあり続かない状況となり一向に定着しません。
そんなこんなで長く勤めるナースがいればとうぜん院長先生はある程度みないフリもします。
「君はいいけど君はまだダメ」みたいな。「あなたは言えるけどわたし勤めて間もないから言えない」と言った状況がありますよ。
病院勤務でも上下関係がないわけではありませんが病院のような組織ではなく、狭い社会に
確立されている細かいルールに私も戸惑ったことがあります。
しかしオープン当初からいた受付さんが退職するとまた職場の上下関係は一変します。
わりと立ち位置の入れ替わりが激しいのもクリニックです。
皆さんのなかには給料明細を見て「これなに?」「どんな計算?でこうなるの?」
そんなこと思われた方がいらっしゃると思いますが、こんな時、病院だと総務や同僚に聞い
たりできますが、クリニックはきいてと言われてもなかなか聞きづらいです。
給料も病院は頑張っただけ(主に夜勤)あります。金属年数に伴い仕事が増えると〇〇手当
てなど評価をしてくれます。
クリニックは昇給はありますがほぼ残業時間で月収が増えます。
なので残業をしなければ収入はほぼ変わりません。
退職金なども義務はないためないところもあります。
税理士さんに支払いをしながら税金対策に家族を使い、落とせるものは経費で落とすなど
様々な知恵を授かり経営をうまく回しています。
なので院長先生だけではなく裏でテグスをしっかり引いているのは税理士さんでもあります。
個々に感じ方は違うでしょうが、クリニック内は小さな社会ですから働く人材にかなり左右されると思います。
ドクターが個性的であっても人材が安定しており働くスタッフに恵まれると夜勤がなく身体に負荷をかけず楽しく時間を共有し働き続けやすいでしょう。
夏季冬季休暇も皆まとめて長く休むことができます。
良いクリニックの選抜
クリニックと言っても様々です。診療内容も異なりますね。
なのでご自身が最優先する内容を絞って探してください。
- 拘束時間が短い
- 残業がない
- 福利厚生(厚生年金社会保険)
- 子供の急な病変に対応できる環境があるか?
- 通勤距離や駅からの徒歩時間
- 働く職場の年齢層(理解を得られやすいため大切です)
ご年配の先生方は医師会から脱退され事務とナース三人で町医者として営業されてる医院や
クリニックがあります。
一見、気後れを感じがちですがお子さんが小さい時は残業も少なく助かりますよ。
若いドクターはご自身の大学で培った経験がクリニックに反映されているため、そこまで備品にうるさくないです。
しかしナースや受付は直接クリニックの評判に繋がるため、それなりの対応や手技は求められます。
病院と違い使用する注射液も少なく仕事内容も難しくないです。(そのクリニック内でしか役に立たない内容が多いです。)
面接に出向くとそこのスタッフさんの表情でクリニックのカラーが読めることがあります。
クリニック内の採光がよく良い印象を受けるクリニックや和かに会釈や対応ができるスタッフさんが多いところは働きやすいと思います。
続いて面接時の質問をする方とその内容です。
人間関係について相手が答えにくいような質問(人間関係を円滑にする取り組みや関係性が悪い時の対応など)を(わざと)してきたら質問者の表情を見てください。
暗い印象、うつむきがちではないですか?そして答えにくい質問に対し答えやすい雰囲気や配慮の言葉、笑顔があるかもみてください。
ほぼ院長の手前、私はこんなにこのクリニックを思っているんですアピールを面接の質問に
便乗して質問してくるだけのことが多いです。
これから共に働くかもしれない相手に対して悪い印象をストレートに出してくる(こちら側が受ける)クリニックは中で揉め事や衝突が多いと思います。
私が受けた質問の中にQ「たくさんあるクリニックの中でなんでうちがいいんですか〜?なんでですか〜?」
と威圧的で語尾をあげ、(内心:これが医療従事者?頭悪そ〜)と疑わせる態度で聞いてきた若い方がいました。
A(内心:感じ悪いから別にオタクじゃなくても既にいいけど)
「近いですから残業にも対応できると思いましたしOPE室勤務が長いので即戦力になれたらと思いました、なのでどのような人材を求めてていらっしゃるかお聞きしたいです。」
「。。。」
新しいい人材がくることでマウントをとられるのでは?などとつまらないことを思い必死でこれまでの経歴を並べ自分は凄いんだアピ〜るしてくる方もいます。
もうここじゃなくていいやと思っていても、その場で採用が決まることもあります。
しかし必ず三ヶ月の使用期間がありますから「とりあえず三ヶ月やってみます。」と答えて
おいてその場をしのぎお断りの連絡を後日いれてもいいとお思います。
「明日もう一つ面接の予定があります」などわたしはこれでほぼ逃げました。
あと人材サポーターさんを間に入れて面接に出向くと使用期間三ヶ月後でもお断りしてくれます。
給料、昇給、賞与額、月平均残、退職金など詳細も聞いていただけますよ。
人材サポートの方は採用が決まることで紹介料を頂くわけですからビジネスは成立しています。
私たちは資格職です。だからと威張る気はないです、がそれなりの準備をした上で面接に
出向くのですから採用されたい一心で言いたいことを言わず採用通知を待つのもおかしい話です。
双方のマッチングですし良いと思っても勤めたらそうじゃなかったり、第3、4希望くらいの職場が働くとよかったりもします。(今の職場はそうです)
面接も受けるうちにたくさんのことを学びます。「なにをもとめてるか? 」「ここの問題点はこれだ!」「ここやばい!」なども笑
働く職場ですからある程度時間をかけてたくさん面接に出かけてくださいね。
「わたし、面接大好きになりましたよ」会って話して表情や雰囲気を見るのが一番良い答えに導いてくれるとわかったからです。
病院勤務もクリニック勤務も今、あなたにおかれた状況で当然優先順位があるでしょうから
クリニック勤務は概ねこんなところということを理解した上で素敵な方達が働く環境を是非
みつけてくださいね。